OpenAIが、ChatGPTを中心とした独自ハードウェアの開発を本格化させているようです。最初の製品として、持ち運び可能な画面のないAIスマートスピーカーを準備しているほか、独自の「AIエージェントスマートフォン」を早ければ2027年にも投入する可能性が報じられています。
このほか、スマートグラスやスマートランプ、イヤホン型デバイスなども検討されており、OpenAIは単一製品ではなく、AIを日常生活に組み込むための製品群を構想しているとみられます。
ただし、これらの製品はOpenAIから正式発表されたものではなく、開発中止や仕様変更、発売時期の延期などが起きる可能性があります。
最初の製品は「画面のないAIスマートスピーカー」
MacRumorsによると、OpenAI初の一般消費者向けハードウェアは、元Apple最高デザイン責任者のジョニー・アイブ氏と共同開発するポータブルAIスマートスピーカーになる見通しです。
一般的なスマートスピーカーとは異なり、画面を搭載せず、家庭内で利用者に寄り添う「人間のようなAIコンパニオン」を目指しているとされています。
報道されている主な特徴は次の通りです。
- 部屋から部屋へ持ち運べる充電式バッテリー
- 周囲の状況を認識するためのカメラ
- スマートホーム機器の操作
- 質問への回答やメッセージへの応答
- 音楽などのメディア再生
- 利用者について学習し、徐々にパーソナライズされる機能
- 本体が生きているように感じさせる可動パーツ
会話機能には、OpenAIの音声モデル「GPT-Live」が利用されると報じられています。GPT-Liveは利用者の話を聞きながら同時に話したり、会話を一時停止したり、相づちを打ったりできる、連続的な音声対話を重視した仕組みです。
OpenAIは、この製品をAppleのHomePodやHomePod miniと直接競合する従来型スマートスピーカーとは位置付けていないと伝えられています。
発売時期は早くても2027年2月以降、価格は200〜300ドル程度になる可能性があります。当初は2026年中の投入が検討されていたものの、現在は2027年へ延期されたとされています。
独自の「AIエージェントスマホ」も開発か
OpenAIはさらに、iPhoneやAndroid端末とは異なる体験を目指した独自スマートフォンを開発している可能性があります。
サプライチェーンに詳しいアナリストのミンチー・クオ氏は、この製品を「AIエージェントフォン」と表現しています。個別のアプリを一つずつ開く従来の操作方法ではなく、AIが利用者の状況を継続的に理解し、目的に応じてタスクを実行するインターフェースを中心に据えるという構想です。
スマートフォンは位置情報、行動、コミュニケーション、周囲の状況などをリアルタイムで把握できるため、AIエージェントを動作させる端末として重要になるとクオ氏は分析しています。OpenAIがOSとハードウェアの両方を管理することで、より包括的なAIサービスを提供できるという考えです。
MediaTek製チップと2基のAIプロセッサを採用との情報
報道によると、OpenAIのスマートフォンにはMediaTekの「Dimensity 9600」をカスタマイズしたプロセッサが採用される可能性があります。製造プロセスには、TSMCのN2Pノードが使われるとされています。
また、カメラを通じて現実世界を認識する能力を高めるため、HDR処理を強化した画像信号プロセッサを搭載する可能性があります。視覚処理と言語処理などを同時に実行するため、2基のAIプロセッサを備えるとの情報もあります。
製造はApple製品のサプライチェーンにも関わるLuxshare Precision Industry、カメラ関連部品はSunny Opticalが担当する可能性が報じられています。
いずれも未発表の仕様であり、実際の製品では変更される可能性があります。
量産開始を2027年前半へ前倒しする可能性
当初、スマートフォンの量産開始は2028年と予測されていました。しかし、クオ氏はその後、OpenAIが2027年前半の量産開始を目指して開発を加速しているとの見方を示しました。
背景には、AIエージェント端末を巡る競争の激化や、OpenAIが計画しているとされる株式上場があるとされています。
開発が予定通り進んだ場合、2027年と2028年を合わせた出荷台数は約3,000万台に達する可能性があるとクオ氏は予測しています。ただし、これはアナリストによる予測であり、OpenAIが示した販売計画ではありません。
スマートグラスやランプ、イヤホンも検討
OpenAIはスマートスピーカーとスマートフォン以外にも、次のような製品を検討していると報じられています。
- AIスマートグラス
- AIスマートランプ
- イヤホン型AIデバイス
これらは初期段階にあり、発売が2028年以降になるか、開発そのものが中止される可能性もあります。
OpenAIのハードウェア事業は、2025年に発表されたジョニー・アイブ氏のスタートアップ「io Products」の買収を基盤としています。買収額は約65億ドルと報じられており、アイブ氏のほか、かつてAppleで製品設計に携わった複数の人材がOpenAIに参加しています。
Appleとの訴訟が開発の障害になる可能性
OpenAIのハードウェア開発には、Appleとの訴訟という不確定要素もあります。
Appleは2026年7月10日、未発表製品や製造工程、部品、サプライヤーに関する企業秘密が不正に持ち出されたと主張し、OpenAIを提訴しました。OpenAI側は「他社の企業秘密には関心がない」として疑惑を否定しています。
Bloombergのマーク・ガーマン氏は、裁判所による判断が出る前から、Apple従業員の採用が難しくなったり、サプライヤーがOpenAIとの取引に慎重になったりすることで、ハードウェア開発に遅れが生じる可能性があると指摘しています。
訴訟で示された内容はApple側の主張であり、現時点で裁判所が事実と認定したものではありません。
Appleとの競争は複数の製品分野へ
Appleも、カメラを搭載したスマートグラス、AirPods、AIペンダント、Siriを活用するスマートホームハブなどを開発していると報じられています。
OpenAIが計画しているとされる製品と重なる分野が多く、両社の競争はスマートフォンだけでなく、家庭用AI端末やウェアラブルデバイスにも広がる可能性があります。
OpenAIがソフトウェア企業から独自ハードウェアを持つプラットフォーム企業へと進化できるのか。まずは2027年に登場するとされる最初のAI端末が、既存のスマートフォンやスマートスピーカーとは異なる使い方を提示できるかが注目されます。
Source: MacRumors
