Appleが例年より早い時期に新型Mac miniとMac Studioを発表した背景には、企業によるAI向けMacの予想以上に強い需要があったようです。
MacRumorsがThe Informationの報道として伝えたところによると、Appleは通常、Macの新モデルを10月から11月ごろに投入します。しかし今回は、9月のiPhone発表シーズンを前に、8月25日という異例のタイミングで新製品を発表しました。
ローカルAI用途でデスクトップMacの需要が拡大
企業やAI開発者の間では、AIモデルをローカル環境で実行するハードウェアとして、Mac miniとMac Studioへの関心が高まっているといいます。
Appleは6月に開催した企業向けイベント「Business at the Park」で、Ford、Disney、Anthropicなどの幹部にMacを紹介。なかでもMac miniが高い注目を集めたと報じられています。
Apple自身も新製品の発表でAI用途を強く打ち出しています。M6またはM5 Proを搭載する新型Mac miniは、常時稼働するAIエージェントやローカルAI処理を想定した製品として紹介されました。
複数のMac StudioをAIクラスタとして利用可能
M5 MaxまたはM5 Ultraを搭載する新型Mac Studioでは、Thunderbolt 5とRDMAを利用し、複数台をクラスタとして接続できます。
Appleによると、複数のMac Studio間で大規模な共有メモリープールを構築でき、より大きなオープンウェイトAIモデルをローカルで実行できます。4台を接続した場合、1台で処理する場合と比べ、分散AI推論が最大3倍高速になるとしています。
この数値はAppleによるテスト結果ですが、同社がMac Studioをクリエイター向けの高性能Macだけでなく、AI研究者や企業向けのローカルAI基盤として位置付けていることが分かります。
急増する需要にAppleの体制が追いつかず
一方、The Informationによると、企業からの需要はAppleの想定を上回っていたとされています。同社には企業顧客専任のエンジニアリングチームや開発者対応スタッフがなく、明確な企業向けAI戦略も整っていなかったと報じられました。
AppleのPrivate Cloud Computeインフラへのアクセスを求めた企業もあったものの、Appleはその要望を受け入れず、代わりにApple製ハードウェア上でAIツールや実行環境を提供するWebAI、Mount Thorなどのパートナーを活用しているといいます。
メモリー不足も供給を圧迫
AI用途でのMac需要拡大は、世界的なメモリー不足とも重なりました。その結果、一部のMac miniとMac Studioの構成は数カ月にわたり入手しにくい状態が続いていると報じられています。
希望するMacを確保できない企業の一部は、Mac miniに近い小型デスクトップ型のAIシステム「NVIDIA DGX Spark」など、ほかのハードウェアも検討しているとのことです。
コンパクトな筐体、大容量のユニファイドメモリー、ローカルでAIモデルを実行できる点が、Mac miniとMac Studioの新たな需要を生み出しています。Appleにとって今後の課題は、この予想外の需要に供給体制と企業向けサポートをどこまで対応させられるかになりそうです。
Source: MacRumors / Apple Newsroom
