Appleは、M5 MaxまたはM5 Ultraを搭載した新型Mac Studioを発表しました。米国価格はM5 Maxモデルが2,499ドルから、M5 Ultraモデルが5,499ドルからとなり、開始価格には3,000ドルの差があります。
どちらもプロ向けの高性能デスクトップですが、M5 Ultraが必要になるのは、512GBのユニファイドメモリや大規模なローカルAI処理など、M5 Maxでは対応しにくい用途を明確に抱えているユーザーが中心です。
共通する主な特徴
両モデルは同じデザインの筐体を採用し、次のような機能を共通して備えています。
- GPUコアに組み込まれたNeural Accelerator
- ハードウェアアクセラレーテッド・レイトレーシング
- H.264、HEVC、ProRes、ProRes RAWのハードウェア処理
- AV1デコード
- 最大120GbpsのThunderbolt 5
- 10Gb Ethernet
- HDMI 2.1
- UHS-II対応SDXCカードスロット
- Wi-Fi 7とBluetooth 6
- USB-C経由のGenlock
- 高インピーダンスヘッドフォン対応3.5mm端子
SSDには新しいアーキテクチャが導入され、Appleによると前世代と比べて最大2倍高速になっています。
M5 MaxとM5 Ultraの主な違い
| 項目 | M5 Max | M5 Ultra |
|---|---|---|
| 米国での開始価格 | 2,499ドル | 5,499ドル |
| CPU | 18コア | 30コア、最大36コア |
| GPU | 32コア、最大40コア | 64コア、最大80コア |
| Neural Engine | 16コア | 32コア |
| メモリ帯域幅 | 460GB/s、最大614GB/s | 1.2TB/s |
| ユニファイドメモリ | 36GB、48GB、64GB、128GB | 96GB、256GB、512GB |
| SSD | 512GB〜8TB | 1TB〜16TB |
| ビデオエンコードエンジン | 2基 | 4基 |
| ProResエンジン | 2基 | 4基 |
| Thunderbolt 5 | 背面4ポート | 前面2+背面4ポート |
| 外部ディスプレイ | 最大5台 | 最大8台 |
M5 Maxは18コアCPUを標準搭載し、GPUは32コアまたは40コアから選択できます。40コアGPU構成ではメモリ帯域幅が最大614GB/sとなり、最大128GBのユニファイドメモリを搭載できます。
M5 Ultraは30コアCPUと64コアGPUが基本構成で、最大36コアCPUと80コアGPUに変更可能です。メモリ帯域幅は1.2TB/s、ユニファイドメモリは最大512GBに達します。ただし、512GBメモリを選択できるのは36コアCPU・80コアGPU構成に限られます。
大半のプロユーザーにはM5 Max
映像編集、音楽制作、ソフトウェア開発、写真編集、3D制作など、多くのプロ向け作業にはM5 Maxが現実的な選択肢となります。
最大40コアGPU、最大128GBメモリ、最大614GB/sのメモリ帯域幅があれば、複数ストリームの4K・6K映像編集、大規模なLogic Proプロジェクト、コードのコンパイル、一般的な3Dレンダリングなどを幅広くカバーできます。
Appleが公表した自社テストでは、M5 MaxはM4 Maxと比較してグラフィックス性能が最大50%向上。DaVinci Resolve StudioのMagic Mask処理は最大3倍高速になったとしています。これらはAppleによる特定条件下での測定結果であり、実際の性能差はアプリや構成によって異なります。
購入後にユニファイドメモリを増設できないため、M5 Ultraへ移行するよりも、まずM5 Maxのメモリ容量を増やす方が合理的なケースも多そうです。
M5 Ultraが向いている用途
M5 Ultraの最大の強みは、最大512GBのユニファイドメモリと1.2TB/sのメモリ帯域幅です。
特に有力な用途は、大規模なAIモデルをMac上で直接動かすローカルAI環境です。モデル全体をメモリ上に展開する必要がある場合、256GBまたは512GBの構成はM5 Maxでは実現できません。機密データをクラウドへ送らず、継続的なAPI利用料金も避けたい研究・開発環境に適しています。
このほか、次のような用途ではM5 Ultraの性能を活用できます。
- 複数カメラによる8K映像の同時処理
- 大規模なVFXや3Dシミュレーション
- 科学技術計算やデータ解析
- 128GBを超えるメモリを必要とする作業
- 6基のThunderbolt 5ポートが必要な環境
- 6台以上の外部ディスプレイを使うシステム
M5 UltraはM5 Maxの2倍のビデオエンコード/デコードブロックを搭載し、Appleによると8K ProRes 422・30fpsの映像を最大33ストリーム同時再生できます。
M5 Ultraの基本構成はメモリ容量に注意
興味深いのは、M5 Ultraの基本構成が96GBである一方、M5 Maxでは最大128GBを選べる点です。
つまり、M5 Ultraへ移行すればCPUやGPU、メモリ帯域幅、Media Engineは大きく強化されますが、基本構成同士の比較では必ずしもメモリ容量が増えるわけではありません。M5 Ultraならではのメリットが明確になるのは、256GBまたは512GBのメモリが必要な場合です。
M5 Maxに128GBメモリや大容量SSDを追加すると価格差は縮まりますが、作業が128GB以内に収まるなら、予算をストレージやディスプレイ、周辺機器へ回す選択肢もあります。
Thunderbolt 5で複数台のクラスタリングにも対応
両モデルは、Thunderbolt 5とRDMAを利用した複数台のクラスタリングに対応します。
Appleによると、4台のMac Studioを組み合わせた構成では、1台の場合と比べて分散AI推論が最大3倍高速になります。単体の最上位モデルを購入するだけでなく、用途に応じて複数台へ処理を分散させる運用も可能です。
どちらを選ぶべきか
一般的なプロ向け作業から高負荷な映像・3D制作まで、最大128GBのメモリで対応できるなら、M5 Maxモデルが価格と性能のバランスに優れています。
一方、256GB以上のメモリ、大規模なローカルAI、複数ストリームの8K制作、最大8台のディスプレイなど、明確な要件がある場合はM5 Ultraが候補になります。
M5 Ultraは単純な上位モデルというより、M5 Maxの性能やメモリ容量では解決できない専門的なワークロードに向けた製品と考えるのがよさそうです。
新型Mac Studioは現在予約を受け付けており、9月22日から販売開始予定です。512GBメモリ構成は10月下旬に登場します。
Sources:
MacRumors:Mac Studio Buyer’s Guide — M5 Max vs. M5 Ultra
Apple:M5 Max/M5 Ultra搭載Mac Studio発表
Apple:Mac Studio技術仕様
